2010年2月に開催されたバンクーバー五輪の聖火。©The Vancouver Shinpo
2010年2月に開催されたバンクーバー五輪の聖火。©The Vancouver Shinpo

 バンクーバーで再び聖火が灯るのか? ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市でオリンピック招致に動き出した市議の動議が4日市議会で議論される。

 動議を提出しているのは同市メリサ・デジェノバ市議。今年4月1日に議論される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で市議会が停止。今月にずれ込んだ。

 デジェノバ市議はCBCのインタビューに、新型コロナ拡大からの経済的回復にオリンピック開催が一役買う可能性があるなら、検討するに値すると語っている。「せっかくの機会を逃したくはないし、あとで後悔したくない」と言う。

 動議によると、4日の市議会では2030年冬季五輪招致に向けた費用などは議論されず、次のステップへ準備するかどうかを検討するという。可決されれば、連邦政府と州政府の協力が得られるかを市長が問い合わせるとしている。

 両政府の支援を取り付けられれば、住民投票を実施する。

 デジェノバ市議の動議によると、2010年オリンピックでは、20,000人の雇用を生み出し、連邦政府への税収は7020万ドルから9190万ドル、10.5億ドルの実質国内総生産があったという。

 2010オリンピック・パラリンピック実行委員会(VANOC)CEOだったジョン・ファーロング氏も、今年2月の10周年イベントでバンクーバー市に招致を検討するようメディアに語っている。

すでに反対の声も、カルガリーは26年招致断念

 新型コロナ感染が拡大する直前の今年2月、バンクーバーは2010冬季オリンピックから10周年を迎えた。雪が降らないバンクーバーで開催されたオリンピックは盛り上がりを見せ、市民も「大成功」に終わったと自負している。

 そうした多少のノスタルジックな雰囲気が残る3月に提出された動議が現在のバンクーバー市民にどう受け止められるのか。

 2010年五輪開催時も、ホームレス問題や薬物中毒問題、住宅価格の高騰などさまざま問題を抱えたまま多額の税金を2週間のスポーツイベントに費やすのは税金の無駄遣いと反対の声があった。

 今回もすでに市議の1人は反対を表明している。

 2026年に2度目の冬季五輪招致を目指していたアルバータ州カルガリー市は、国際オリンピック委員会(ICO)からも賞賛されるほど順調に準備を進めていたが、住民投票で反対が過半数となり断念した。

 バンクーバーで開催となれば、2010年時の会場などが利用できる利点があると優位点を強調しているが、動議内で紹介されている、BC州政府ジョン・ホーガン州首相、同市ケネディ・ストゥワート市長のコメントは、住民の同意が必要としている。

バンクーバー市メリサ・デジェノバ市議の動議: https://council.vancouver.ca/20201104/documents/pspc7.pdf

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