「着物でお出かけ2」

カナダde着物 

第5話 季節*錦秋 

 どの季節も好きですが、木々の彩りが日ごとに変化を見せるこの時期は私達の目を楽しませてくれます。

 さて、今年のハロウィーンは土曜日です。子供たちにとっては嬉しいですね。そして、満月になるようです。大人たちは月見酒でしょうか。

 例年より静かなハロウィーンとなりそうですが、楽しい時間をお過し下さい。

バーナビーの公園にて*紅葉 Photo © コナともこさん
バーナビーの公園にて*紅葉 Photo © コナともこさん

~前回のコラムから続きます~

 SNS上で目にしました、海外在住者の着物事情を考えます。

「目的にあった礼装と正装着物は、会場で華やか過ぎるということはありません」

 日本人以外の家族からの誤解があり、着物へ持つイメージが適切ではない場合が多々あるようです。所謂、着物へのステレオタイプです。

 例えば、着物は結婚式に着ていくと新郎新婦より目立ってしまう。着物は芸者が着るものだ。(この芸者の意味も現代の認識ではない)、性差別の衣装ではないか…などなど、世界は広く誤解も多種多様だと実感しております。笑

 殆どの場合、思い込みや勘違いでしょう。本来、相応の礼装や正装着物(*1)は、自分が一番に目立つ為に着るものではないのです。

「着物に歴史あり敬意あり」

 長い歴史の中で変化してきた日本の民族衣装の着物は、全てに意味が含まれております。礼装や正装にルールがあるのは、その意味から由来するものでしょう。まず「新郎新婦より目立ってしまう」と誤解されている方に伝えたいのは、冠婚葬祭で着物を装うことは“お相手への敬意”であり、尊敬を示している表れだということです。

 例外として、新郎新婦からのドレスコードがあり、民族衣装や高価な衣装でのパーティーの参加を控えて欲しいとの要望があった場合でしょうか。

 それ以外でしたら、パーティーの大きさや様子を確認して、それ相応の着物で参加することに問題はないでしょう。(ご招待された方に事前に確認されてもいいですね)

今年のサンクスギビングディナーは家族だけで。着物は白地に黄色で銀杏の葉と七宝柄、半幅帯は黒と金色の冠柄 Photo © コナともこさん
今年のサンクスギビングディナーは家族だけで。着物は白地に黄色で銀杏の葉と七宝柄、半幅帯は黒と金色の冠柄 Photo © コナともこさん

「着物ステレオタイプとの日々」

 海外で着物と関るようになってから、様々な日本文化、着物、日本人に対してのステレオタイプと遭遇してまいりました。

 実は、それは日本人同士でもしかりです。以前のコラムで伝統は幻かもしれない、と申しましたが、ひとくくりにできないということが、色んな解釈を生み、海外の映画やドラマの中の日本人の振る舞いや服装が、現実とかけ離れてしまったという現実があります。

 私ができることは、着物で出掛けた先で着物姿を見ていただき、もし極端な誤解や感想を持っている方がいらしたら、今現在の着物文化をご紹介することかなと思います。

「着物で出掛けて、着物と日本の親善大使に」

 昨年の里帰りで京都や浅草を訪れました。日本の観光地には、着物姿の若い方や家族連れが溢れていました。話している言葉を聞かなければ、どこの国の方なのか見た目だけでは分かりません。皆さん、それはそれは嬉しそうでした。

 着物姿が素敵だなと思うと、ついつい声をかけてしまう私です。京都の伏見稲荷大社では、山頂までお参りしていた振袖姿のマレーシア人の女性たちがいました。(根性ある~!)「日本人は着物でお参りしますか?」と聞かれまして、「晴れ着でお参りは行きますが、ここの頂上まで行く方は少ないと思いますよ。」と答えました。

 東京浅草でも、お子さん連れの家族やカップルの皆さんが、浴衣風着物、着物、袴、などで境内や街を散策されてました。大きなサイズの中古着物を探してましたので、レンタル着物のお店に尋ねましたら、Lサイズの使わなくなったものがいくつかありましたので譲って頂き、色々と着物レンタル事情のお話も聞きました。

 以前はヨーロッパのお客さんが多かったのですが、最近は断然、南アジア系の方々が多いそうで、大きいサイズをたくさん用意しなくても問題がない、とのことです。

 観光の中のアクティビティーではありますが、着物姿の多くが外国からの方々だとしたら、わざわざ飛行機代と滞在費と着物をレンタルして、着物をアピールして下さる海外の皆さまに感謝したい気持ちになります。

 さて、日本人の私たちはどうでしょうか。最後に着物を着られたのはいつですか。

 以前、日本文化に造詣のある海外の方に「今の日本人は素晴らしい伝統の上にあぐらをかいているようだ」と言われたことがありました。

 確かに、身近には海外の方々が憧れる伝統文化があるにも関らず、気付いていない人々が多いのかも知れません。

 “道”がつくお稽古事は、敷居が高く独特な世界観があり入りにくいのかも知れませんが、着物は普段着から正装まで多種ありますので、とても気軽に一歩が踏み出せるのではと思います。

 是非、皆さまに“民間の日本親善大使”になっていただき(大げさかしら?)、勘違いステレオタイプが減少するように伝道しませんか。私たちが海外でも堂々と民族衣装が装えますよう切に願います。私も着物の活動を通じて、お手伝いができたら本望です。

(*1)礼装と正装 礼装は儀礼の中で着られる着物で、正装は一般的なフォーマルな装いです。
   例:新郎新婦は礼装、参列者が正装となります。

「ハロウィーンの衣装*着物編」

 昔から仮装して非現実を楽しむ行事は、北米だけでなく日本でもあります。節分の日だけ行なわれる「お化け」というもので、芸鼓さん達が笑いを取るような髭オジサンやバカ殿などになる京都花街の仮装大会です。そのハンパない本気度は、さすがプロです。

 いつもは楚々とした芸鼓さんたちが、この日はお茶目で可愛いですね。

 世界での着物仮装の事情はどうでしょうか。実は近年、稚拙なステレオタイプや人種差別を招くということで、日本人以外の人達が着物の仮装をすることを躊躇するようになってきております。

 他の例ですが、ハリウッド女優やモデルがファーストネイションのファッションをすると批判が出ます。その人種と民族以外の人達が伝統的な衣装をまとう時、その背後にある歴史や政治などが絡んできて、人々の心は複雑に反応するようです。

 10年以上前は、よくハロウィーンで着たいと着物のレンタルを受けることがありました。小学校の先生にも貸した覚えがあります。

 この10年で社会は変わり、多くの人々が性や人種差別に対して意識を向け、慎重に考えるようになってきているのが分かります。

 「日本人以外の方々に、もっと着物を着て愉しんで欲しいな」と思いますが、こういった一面を持つ民族衣装は、現代社会を映す鏡のようですね。

「コナのお勧め着物仮装はコスプレ」

 このようにセンスティブな問題をクリアしながらの着物仮装ですが、カナダの皆さんや日本の方にもお勧めしますのは、キャラクターとして仮装することです。 

 「雪女」「鬼太郎」ジプリ作品でお馴染みの「千尋とハク」などなど、キャラクターを真似たらいかがでしょうか?

 私の友人で着物仲間のF子さんは、どんな衣装も手作りしてしまう“スーパー和裁ウーマン”です。ご興味がある方はコナまでご連絡を。ご紹介いたします。

ハロウィーンコスチューム「雪女」より Photo © コナともこさん
ハロウィーンコスチューム「雪女」より Photo © コナともこさん
カナダで楽しむ着物の世界のkona tomoko コナともこさん

コナともこ
 アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
 10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
 カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。 

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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