コナともこ「着物語り」-Kona Kimono Story –

 カナダで着物ライフを愉しむ、コナともこさんの新連載。

 第一回は自己紹介、次週9月3日には着物の装いについての提案です。

 どうぞお楽しみに!

カナダde着物

 初めまして。コナともこと申します。この度、カナダで着物や和装文化に関するコラム”着物語り”を発信させて頂くこととなりました。どうぞ、宜しくお願い致します。

 今まで和服にご縁のなかった方、ご両親やご祖父母の着物があっても着るチャンスがなかった方、これから着物を愉しみたいと思っている方、そして和服愛好進行中の皆さまとコラムを通じて語り合えたら幸いでございます。

 ”文化はその土地で育つもの”と言われます。日本の伝統を守りながら、カナダ在住ならではの和装そして日本文化をご一緒に愉しみませんか?

「カナダで着物を着たい!」

 呉服店も和装履物店もないバンクーバー近郊に住みながら「着物を着たい!」とせっせと日本里帰りの度に着物や和装道具をカナダへ持ち込んで、季節の折々に愉しむ生活をして参りました。

 カナダで出会った着物好きなお友達たちの中には、足りない道具などを当地で手に入る物で作ったり、代用品を使ったり、とてもクリエイティブな方々が多いのです。着付や和裁に精通するお友達からも色々なことを教わり、益々着物に魅せられ手持ちの着物にも愛着が湧いていきました。

「コナの着物との出会い」

 元々、私は出身地の静岡で近所に住む80歳のお婆ちゃん先生から着付を習ったことがありました。芸者街で育った先生は粋な着方をされてました。使う仮紐(*)は1本で、補正も最小限に抑え、着物で働いても遊んでも動きやすく苦しくない、身体と着物が一体となることが大事だと教わりました。

 着物好きな母が自宅で茶道を教えていたこともあり、着物は身近にあったものでしたが、西洋文化にかぶれていた20代初め頃の私は、全く着物には興味がありませんでした。

 日本の良さを知ったのは、カナダ人夫に出会ってからでしょうか。日本の着物がとても高尚な文化であり、Cool!であると気付いたのです。
*「仮紐(かりひも)」: 着付の際に使う紐で次の動作がしやすいように仮に留めておくものです。

「過去から現在、そして、これからの着物業界」

 皆さまがご存知の三井、三越という会社は当初は呉服屋さんでした。100年前は殆どの日本人は着物で生活をしていました。呉服屋さんは大繁盛したことでしょう。

 それが西洋から洋服が伝わり、その便利さと今までに無い多様なデザインが受け、あっという間に和服は衰退してしまいます。

 そこで、呉服業界や和装の学校が着物のフォーマル化を勧め、和装ルールを決め、着物業界の復活に奮闘したと聞きました。皮肉なことにそれが現代に入り、人々からの和服離れを起こしてしまった理由でもあったようです。

 そして2000年代に入りますと、インターネットの普及により若い世代や海外の方々へ着物、和装文化が伝わり、新品&中古品のネット販売やオークションなどで、安く着物や帯が手に入るようにもなりました。私も定価では買えない高額な着物をオークションで手に入れ、お得感いっぱいでルンルン気分の朝を迎えたことがありました。(オークション最後の落札時間は、カナダ時間の早朝になります。早起きして戦に向かいましょう(笑)戦うのが面倒な方、実物を見たい方にはあまりお勧め致しません)

 次世代の皆さんにとっての着物は、ご自分の個性を表現するファッションになっていくと思います。そうなると自然にかつてのフォーマルからカジュアルな日常での着物が回帰してくるでしょう。

 情報社会と若者&海外の人達によって、時代に合ったスタイルへと変化することが市場で着物が生き残る道であると同時に、カジュアル着物に魅せられた人々が次に伝統的な着物に興味が移ることで結果的に伝統文化も受け継いでいくことになると思います。

 私は今の若い方々が羨ましいです。現在の和服市場には、私の知る範囲でもアンティーク着物、現代モダン着物、コスプレ着物、洋服一体型着物、などなど多種多様な着物が出回っております。ネット上でこれらの写真を見ているだけでワクワクします。自分の好みで選べる“着物&和装ワールド”への門がこんなに開かれているいるなんて! いつ愉しむの?「今でしょ」(ついつい使ってしまうフレーズです)

 人それぞれ着物のスキルも好みも違います。「着物好き!」という共通点があれば、世代や国を超えて出会いがあり、着物をきっかけにもっと日本文化を学ぶチャンスが増えますね。

 ともかく、着物は着てなんぼのもの…最初はカジュアルから気軽に始めませんか?

 ご一緒に愉しみましょう!

kona tomoko コナともこさん

コナともこ
 アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。

 10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

 カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。 

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/