カナダ政府CERB延長を発表、EIへの移行策も

 カナダ政府は新型コロナウイルス対策のための支援策 Canada Emergency Response Benefit(カナダ緊急対応給付金:CERB)をさらに4週間延長すると発表した。

 同時にCERB終了後の経済再開と雇用促進に向けた準備のための支援移行策も発表。今後も新型コロナ感染が続くと予想される中で、経済と国民生活に打撃を与えることなく不時着できる着地点を模索する対応となった。

 この日会見したカーラ・クワルトロー雇用大臣は、新型コロナはこれからも続き、国民は生活していかなくてはいけない、政府としてはできる限り就職への移行がスムーズにいくように支援を考えていると語った。

 同席したクリスティア・フリーランド財務大臣は「カナダ政府は国民に(新型コロナ感染が拡大した時)自宅待機を要請し、ビジネスには営業停止を要請した。政府からの経済的な支援なくてはこうした要請に国民は答えられなかった。国民の負債額が膨らむのを抑えるために国がその負債を負担する対策だった」と支援策で増大する負債の必要性を説明をした。

CERBをさらに4週間延長、最大で28週間申請可能

 3月から始まった新型コロナウイルス感染拡大で収入を失った国民を支援するための現金給付策 CERBは、当初は16週間(1回4週間2,000ドルを4回まで)限定だった。

 しかし感染拡大が収束する気配をみせず経済活動も不安定なことから8週間延長され、現在は最大で24週間(6回)申請できる。

 今回はそれをさらに4週間延長し、必要な場合は28週間(7回)まで申請可能となった。

 CERBは1回の申請で4週間分2,000ドル(1週間500ドル支給する計算)を受給できる。申請はカナダ歳入庁(CRA)のウェブサイト、もしくは電話で可能で、銀行振り込みなら3日以内に支給される。

 ジャスティン・トルドー首相は18日に議会閉会を発表したが、今回のCERB延長については「影響しない」とクワルトロー雇用大臣が明言した。

CERBから求職者のための移行プログラムへ

 国民への支援は、新型コロナ感染防止のための自宅待機を念頭に置いた現金給付策CERBから、求職活動期間を支援する対策へと移行する。

 移行支援策は、雇用保険に加入している場合は雇用保険料を負担している企業への支援と申請者の条件緩和を実施する。現在のCERB受給者の約3分の2は雇用保険対象者と政府は試算している。

 残りの雇用保険に加入していない人には、雇用保険の条件に類似した対応を3プログラム用意している。

  1. Canada Recovery Benefit:フリーランスや自営業者のためのプログラム。求職活動をしていることを条件に1週間400ドルを支給。最大26週間まで申請できる。課税対象。タックスリターンで38,000ドル以上の年収(ネット)を申告した場合は、越えた額から1ドルにつき0.50セントを返金しなければならない。
  2. Canada Recovery Sickness Benefit:14日間の自己隔離を余儀なくされた場合で雇用主から病気休暇(Sick leave)を受けられない人向けのプログラム。1週間500ドルを2週間受給できる。
  3. Canada Recovery Caregiving Benefit:新型コロナの影響で自宅にいる子どもや家族の世話で働けない人のためのプログラム。1週間500ドル、最大で26週間申請可能。

これらのプログラムは議会で承認される必要がある。しかし議会は18日に閉会されたため移行プログラムが実施されるのは早くても9月27日以降となる予定。

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