忙しい年末年始に 心と体にやさしいマクロビ料理を楽しむ

2019年12月19日 第51号

 忙しい年末年始に、体と心にやさしいマクロビ料理はいかがだろう。本紙では、オタワでマクロビ料理研究家として活動する高木国雄さんに、お勧めレシピを紹介してもらった。マクロビというと、その名の響きから難しそうなイメージがあるが、実際のところ、乳製品や卵、精製された白砂糖をなるべく使わず、その土地の旬の食材を使って調理するという理念から、材料も揃えやすく、自然の恵みがおいしくいただける。読者の皆さんも、ぜひ、試してほしい。

◇マクロビとは?

 正式には、マクロビオティックといい、語源は古代ギリシア語のマクロバイオス。環境と食物を正すことが、心と体の健康につながると考え、自然のあり方に適応した生活方法のことを指す。食事に関しては、日本の伝統食を推進し、玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とする。ローカル、無農薬・無肥料の有機食材をベースに、調味料は良質な海塩(ヒマラヤピンクソルトでも可能)、有機味噌、有機醤油の使用を勧めている。肉や魚を食べてはいけないといった制限もなく、あくまでバランスのとれた生活を重視。また、独自の陰陽論で調理する。

1 ビーガン牡蠣フライ

︎ビーガン牡蠣フライ

◆材料

  • 里芋(小芋とも呼ばれる。英語ではTaro)4〜5個
  • オイスターマッシュルーム(またはオイスターキングマッシュルーム)1パック
  • パセリ(少し)
  • 青海苔(少し)
  • クミンパウダー(少し)
  • コリアンダー (少し)
  1. 里芋の皮をスプーンで剥き、里芋が半分かぶる程の水で軟らかくなるまで茹でる。
  2. マッシャーで潰す。
  3. パセリを細かく刻み、2に混ぜ込む。
  4. 好みで、青海苔やクミンパウダー、コリアンダーを少し入れる。
  5. マッシュルームは、縦に棒状に裂くか、切っておく。潰した里芋を、マッシュルームの周りに巻いて団子のように丸め、両端に少しマッシュルームが見えるような形に。
  6. フライパンに、ビーガン牡蠣フライが、かぶる程度の油を入れて、コンガリと両面がきつね色になるまで揚げる。
  7. 油を切った後、ペーパータオルの上におく。
︎オイスターマッシュルームを入れて形作り

ビーガン牡蠣フライのソース

◆材料

  • 大根(7〜8㎝) (人参で代用可能)
  • 生姜(適量)
  • レモン汁(大さじ1)
  • 海塩(小さじ1/4)
  1. 大根を横に持っておろす。(横にすることにより大根おろしが、あまり辛くならない)
  2. 1に細かく刻んだ生姜と、レモン汁、塩を混ぜてソースに。
  3. お皿にビーガン牡蠣フライを盛り、ソースを横に置けばできあがり。ディルやパセリをのせても良い。

高木さんから一言
マドンナの元パーソナルシェフである西邑まゆみさんのお料理教室で学んだ一品です。里芋(小芋)は日本古来の食べ物で縄文中期時代からあったようで、ぬめり成分(食物繊維)が胃や腸内の粘膜を保護修復し、低下した胃腸機能を回復する手助けをするそうです。便秘解消や下痢の軽減などの役目もします。

2 味噌玉

◆材料

  • 味噌(可能なら手前味噌か有機味噌)
  • 青ネギ(適量)
  • 乾燥ワカメ(適量)
  • とろろ昆布(あれば)
  • かつお節(あれば)
  • こうや豆腐(あれば)
  • 切り干し大根(あれば)
  • ごま(あれば)
  • 麩(あれば)
  1. 10〜15㎝正方のラップに、大さじ一杯の味噌をおく。
  2. 細かく刻んだ青ネギと乾燥ワカメを混ぜる。
  3. お好みで、とろろ昆布、細かく切ったこうや豆腐、かつお節、切り干し大根などをいれる。
  4. 上記の混ぜたものをラップで包み、輪ゴムやマスキングテープなどでとめてできあがり。

高木さんから一言
作った味噌玉に、熱湯を注げば、2〜3分で栄養満点のお味噌汁がいただける簡単レシピです。朝、味噌汁を作る時間がないときや、旅行に行った際に常備しておくと便利ですね。熱湯をかけるだけなので、酵母菌が生きたままいただけ、健康的。原爆が落ちた長崎の病院では、ワカメの味噌汁と玄米食を患者に提供したおかげで、放射線の害で亡くなった方はなかったといいます。味噌汁にはそれくらいの力が秘められているので、毎日食べてほしいですね。

3 りんごとサツマイモのデザート

◆材料

  • りんご 2個
  • サツマイモ 2個
  • 寒天かアガー  
  • ブルーベリーあるいはラズベリー(適量)
  1. りんご、サツマイモは小さなダイス状に切る。 
  2. 1を鍋に入れ、半分くらいかぶる量の水で、中火か弱火で煮る。
  3. 軟らかくなったら、火を止めて少し冷ましたら、ハンドミキサーなどで、マッシュ状にしていく。
  4. 別の鍋に水(2〜3カップ)を入れ、寒天を入れて沸騰するまで炊く。(寒天の量はパッケージを参照) 
  5. 4を3に注ぎ入れ、均等になるまでよく混ぜる。
  6. これに好みのベリーを混ぜる。写真はブルーベリーだが、いろいろなベリーをいれてマルチカラーにしても良い。 
  7. 平たい容器に6を流し込み、冷えたら冷蔵庫に入れ、固まらせる。
  8. 冷えて固まったら、好きなサイズにカットしてサーブする。

高木さんから一言
どんな食べ物でも、弱火でユックリ煮ると甘くなり、時間をかければかけるほど砂糖を入れたかのような甘みが出てきます。今回のデザートも、サツマイモとりんごだけの自然な甘さで、体に優しく、安心していただけます。

4 ごま塩

◆材料

  • 黒ごま 大さじ 16杯
  • 良質な塩(海塩) 大さじ 1杯
  1. フライパンを中火で温めて、塩を入れ、少し色が変わるまで、木製のヘラで、炒る。
  2. 熱い塩をすり鉢に移し、すりこぎ棒で、力強く上から下へ、粉になるまですりこむ。
  3. 16杯の黒ごまを2回に分けて、中火で蓋をして炒る。パチパチと2〜3個音がし始めたら炒りあがり。 (* 市販の炒りごまも炒りなおします)
  4. すでにすり鉢に入っている塩に、ごまを優しく擦る。 (* ごまはあまり強く擦ると、油が出て早く変化し、味も落ち、体にも良くないので気をつけて)
  5. 半割りごまと塩が完全にミックスされたらできあがり。
  6. 温度が下がって、室温くらいになったら、蓋付きの器に移して置く。

高木さんから一言
マクロビでは、テーブルソルトや生醤油を食卓で使わう代わりに、コンデメントを使うのが一般的です。その一つがごま塩で、本レシピが、正しいごま塩の作り方となります。 ごまと塩の比率は、塩1に対し、ごまは10〜16。子供や年配の方にはさらに塩を少なくしましょう。また、ごま塩は1度にたくさん作ると便利ですが、潰れたごまは変化しやすいので、1カ月以内に使い切れる量を目安にしてください。

5 ひよこ豆カレー

︎ひよこ豆のカレー

◆材料

  • ひよこ豆(乾燥) 1・5 カップ
  • だし汁(前日に、4〜5カップの水に根昆布1片、干し椎茸(3〜4個)、 切り干し大根(少々) をいれて、だし汁にする。これを毎日作っておくと、味噌汁や、お吸い物などにも使用可能)
  • 重曹(大さじ1)(重曹は陰性で広がる役目をし、ひよこ豆が軟らかく炊ける。だが、圧力鍋で炊くときは使用しない)
  • 根菜類 (里芋 、ゴボウ、レンコン、人参など、冷蔵庫にある残り物を使用)
  • セロリ(適量)
  • 干し椎茸 (3〜4個)
  • パセリ(あるいはコリアンダー)
  • ニンニク(適量)
  • 生姜(適量)
  • 玉ねぎ(1個)
  • クミンパウダー(大さじ2)
  • ターメリックパウダー(大さじ2)
  • カレー粉(大さじ2〜3)
  • 日本製のカレールー(2 キューブ程)
  • 日本製のカレールーを使わない場合は、 アロールーツ粉(Whole foods, Bulk Barnなどで購入可能)を大さじ2程お湯で溶いて、一緒に煮て、2分間以上沸騰させ、とろみをつける。
  1. ひよこ豆を水に8時間以上つけた後、圧力鍋にひよこ豆と根昆布を1個入れ、35分、煮る。(圧力鍋が無い場合は、重曹(大さじ1)を入れた水にひよこ豆を1時間ほど浸けておく。鍋に入れる前に水で濯ぎ、煮ると早くできあがる)
  2. 根菜類と椎茸とセロリはダイス状に切り、パセリはみじん切りに。
  3. ゴボウは甘くするため、極少量の油(またはだし汁)で中火で2分炒め、蓋をし、弱火で7分程蒸す。(蓋を外したとき、ゴボウの苦味(アク)が転じて甘くなり良い香りが!)
  4. みじん切りしたニンニクと生姜を入れて少し炒める。
  5. 2の根菜類と椎茸とだし汁を2〜3カップを4に入れ、蓋をして10〜15分煮る。
  6. 日本酒を1/3〜1/2カップ入れ、また蓋をして3分ほど煮る。
  7. セロリと、既に煮てあるひよこ豆を入れ、2〜3分煮る。
  8. 野菜が軟らかくなってから、カレー粉、クミンパウダー、ターメリックパウダー、日本製のカレールーを入れてよくかき混ぜる。だし汁を入れて水気を調整し、2〜3分煮る。
  9. 刻んだパセリを入れ混ぜてできあがり。  
︎ひよこ豆のカレーで使用するスパイス類

︎ひよこ豆のカレーの材料

高木国雄さん プロフィール
マクロビ料理研究家 10年前、妻の乳がんをきっかけに、食事と生活習慣の改善の必要性を感じ、マクロビの世界へ。アメリカで行われているマクロビコンファレンスにも毎年参加し、そこで納豆や味噌のワークショップも行う。日々、マクロビの研究と実験を繰り返し、理論だけではなく、実践に重点を置いた生活を送る。オタワでも、ワークショップを行いながら、フェイスブックやインスタグラムでマクロビ料理情報も提供。 インスタグラム:kuniotakaki/Facebook:Kunio Takaki ◇参照文献 「久司道夫のマクロビオティック入門編」久司道夫著

(取材 小林昌子/写真 高木国雄さん)